誰も言わない「朝食を取ると学力が上がる」根拠となる論文の話
「朝食を食べないと、午前中、頭がぼーっとする」や「学力が高い子どもは朝食を食べている」という話を多くの人が聞いたことがあるでしょう。
しかし、その根拠となる論文についてまで調べたことがある人は少ないのではないでしょうか。
今回はダイエット編に続き、朝食と学力の関係について、ほとんどの人が知らないであろう論文の話をしていきます。
- 朝食を取ると学力が上がる?
- 論文の分析方法の話
朝食を取ると学力が上がる?
結論から言いますと「朝食を食べている家庭は学力が高くなる傾向がある」と言えます。
朝食を全く食べない人、食べたいときに食べる人と比べると、毎日食べている人の方が学力が高くなるという研究結果が、アメリカ、中国、韓国、ノルウェー、インド、サウジアラビア、ジャマイカの研究結果を分析した結果明らかになっています。
その中には、毎日朝食を食べる習慣のある高校生は、毎日食べない高校生と比べて全教科の平均点が2倍以上高くなっているという研究結果もあります。
また、分析にかけられた全ての研究は学力を上げるために、朝食を食べることは大切であるということを話しています。
だから、「子どもの学力を上げるには、朝食が大切なんですね。みなさんも朝食を食べる習慣をつくりましょう」と終わっているのが、ほとんどのブログですが、ここで終わらないのがこのブログ。
少し、これらの論文に関する話をしておきましょう。
論文の分析方法の話
論文を読まない人にとっては、結論さえ分かれば良いということで、軽視されがちな分析方法についてですが、ここに「朝食を食べると学力が上がる」ということについて、いくつか困ったことが出てくるのです。
それは以下のようなことです。
- ほとんどの研究がアンケートで行われていること。
- なぜ朝食がいいのかの理由が明らかにされていないこと。
- 狭い範囲にある学校の児童で調べていること。
- 朝食の定義があいまいなこと。
さて、これの何が問題なのかと言うと
①アンケート結果によって調べているため、朝ごはんの量や内容、子どもの正確な成績が分からない。
②教育の研究なので、医学的根拠まで調べたものがほとんどない。
③近くの地域の学校で調べているものが殆どのため、データが偏っている可能性がある。
要するに、限られた範囲でアンケート以外の詳しい調査をしないままに論文が作られていることが問題として挙げられます。
さらに、日本の論文では朝食と学力の関係について様々な研究を元にしてデータを統合したものが(2020.4.12に私が探した範囲では)ないので、日本の研究は個人が散発的に行っており、系統だっていないこともまた、問題として挙げられますね。
おわりに
今回の内容はいかがだったでしょうか。
さて、今回の内容で言えることは、先ほども言いましたが「朝食を食べている家庭は学力が高くなる傾向がある」ということです。
これだけ研究で言われているなら、信じても良い気がしますが、どのような食事がいいのかといったことは不明なままです。
糖分を取ると、水だけより問題正答率が上がるなど、他のジャンルの研究結果と合わせて正しい方法についての情報を集め、考えていく必要があるのかもしれませんね。
また、興味深いことに、朝食は算数・数学の成績にだけ影響があったとする論文も複数あり、国語や理科には影響しないとも言われています。
まぁ、なんにせよ朝食が子どもの成長に良いのは間違いないでしょうけどね。
参考論文
- The influence of breakfast on the academic performance of school-age adolescents: systematic review/Eun-Young Jeong/J Nutr Health. 2019 Apr;52(2):119-128.
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