さて、いよいよ来週から新学期が始まる学校も多いのではないでしょうか。
(2020年に関してはコロナウイルスの影響で、そうは言っていられない所もあると思いますが…。)
この4月は、クラス替えがあったり、進学したり、先生の異動があったりと様々な環境の変化があります。
その中で、いじめなど、精神的に苦しいことが原因での不登校だった場合には、クラス替えにより、原因を作った子とは違うクラスになっているのではないでしょうか。
(少なくとも、私が勤務していた学校では、第一に、いじめなどの重要な人間関係を元にクラス分けを行っていました)
すると、不登校だった子どもが、まるで今までが嘘のように、学校に行けるようになることも多いのです。
「学校に行ってくれる。よかった」と安心するご家庭も多いことでしょう。
しかし、本当に安心できるのは、もう少し先の話になります。
今回は教員として小学校に7年間勤めた経験や、私自身が不登校を6年間(小4~中3)した経験から、不登校の子を持つ親に気にかけてほしいことをご紹介します。
4月は不登校の解決の分岐点
4月は不登校の分岐点になります。
不登校の解決のきっかけが生まれやすい時期になりますが、一方で
不登校歴が短い場合、不登校が解決することも
不登校歴が短い子(1ヶ月程度)でしたら、学校での話し合いなどで課題が解決していれば、これで今まで通りに通うことができる場合も多いです。
最初は不安を訴えることもありますが、いじめの場合は相手も環境の変化に対応するので忙しい、かつ先生方も特に気を付けて見ていますので問題はあまり起きません。
不登校歴が短い子ども視点では、不安で心配しながらも新しいクラスの人と話したり、仲が良かった友だちと話したりして、これなら大丈夫かな、と思い始める時期になります。
あとは、周りとコミュニケーションをとり、友だちや先生と安心できるつながりができれば最初としては大丈夫でしょう。
残るは、人間関係が決まっていく、一学期。
夏休み中に起こりやすいトラブルと、夏休み明けの憂鬱。
半年後のその二つを乗り越えたなら、きっとお子さんは大丈夫ですよ。
(11月ごろに新たなトラブルの火種が発生することがあるかもしれませんけどね…)
不登校が長期化している場合、解決は難しい
ただ、いじめなどの解決まで時間がかかり、長期間(三ヶ月以上)休んだ場合や「何だか分からない(理由は特にない)けど行きたくない」といったタイプの不登校やの場合は、最初の数日は良くても長続きしない傾向にあります。
それぞれの場合についてお話します。
まず、いじめなどの解決まで時間がかかり、長期間(三ヶ月以上)休んだ場合の不登校の場合では、「行ったらみんなに何か言われる」や「きっとまたいじめられる」といった思い込みによるマイナス思考が原因となり、行くことが出来ないことがあります。
これを解決する方法は「時間をかけて、大丈夫だということを経験させていく」ことか「言われても気にしない、言われたらこうすればいい、とプラス思考や解決思考に変えていく」ことです。
そのどちらも時間がかかるものですから、子どもの声を聞くことと、学校と家庭とで気持ちを切り替えていけるように声掛けや、子どもに合った気持ちの切り替え方を考えていくことが必要になります。
不登校の理由が分からない場合、教員はお手上げ
次に「何だか分からない(理由は特にない)けど行きたくない」といったタイプの不登校では、「学校に行っても、悪いこともなければ、良いこともない」といった、学校や勉強、友だちに対して魅力を感じていないことが原因と考えられ、これに対して学校側が取れる手だてがほとんどありません。
その子と仲の良い子や、頼りになる子に「学校に来て困っていたらサポートしてあげて」や「一緒に遊んであげて」と声をかける程度ですね。
(お楽しみ会の日に来ないこともありますので、楽しみを作るのはなかなか難しいです)
先生は家庭訪問などで様子を見に来てくれるかもしれませんが、「先生は嫌いじゃない、でもわざわざ会いに学校に行くまでもない」と、会う時間が短い学校の先生では、「学校に行ってでも会いたい」と思わせるまでに至らないことがほとんどです。
そういった子に必要なのは、「将来どうなりたいか」といった、「夢」だと私は考えています。
「○○になりたい」という夢を持つことで、それに向かって必要なものを学ぶために学校に行く。
そんな目的意識が大切ではないでしょうか。
youtuberになりたいのなら、クラスで面白い人や先生の話し方を研究する、みんなが好きな物を調べてランキングにしてみる。
ゲーマーになりたいのなら、クラスで同じゲームをしている人を見つけて対戦する約束をする。
学校に行って勉強するのではなくて、学校を使って夢に向かって進む、そんな考え方もありなのではないでしょうか。
覚悟が必要、「時間と経験は取り戻せない」
読んで字のごとくです。
学校生活で休んだ期間、子どもはその時間と経験を取り戻すことはできません。
それは、友だちと協力する時間や勉強する時間、何かを成し遂げたと感動する時間、と様々でしょう。
ここで理解していただきたいのは「休んだ分を取り戻そう」というのは、ハッキリ言って不可能です。
勉強を取り戻したいなら、休み時間をすべて勉強時間にしないといけないかもしれません。
しかし、その分、友だちと遊ぶ時間と経験は失われていきますし、休んでいたために新しい授業の理解も遅れます。
結局のところ、学校を休んだ時間と経験は返ってきません。
時間と経験を取り戻せない、これを良しとするか、否かはみなさんの判断次第です。
ちなみに私は「良し」としました。
私が経験した不登校の6年間は確かに苦しく、死を選びそうになったことも何度もありました。
うつ病になり、親宛てに遺書も書きましたし、ナイフを自分に刺そうと構えました。
結局、家族の顔が浮かんで、死を選べませんでしたけれど。
ですが、そんな自分と向き合い、周りと違う道を進んできたからこそ言えることがあります。
時間と経験は取り戻せないけど、その分人と違う時間を過ごし、経験をすることができた。そして、それは私の人生の大きな宝である、と。
ただし、あくまで決めるのは、みなさん自身です。
学校に行く価値とは何か、学校に行かない価値とは何か。
家族みんなで考えてみると良いかもしれませんね。
おわりに
私は、不登校の経験があったからこそ、私は傷ついている人が気になるし、傷つけないようにしようと考えます。
さらに、不登校の経験があって、それを乗り越えたからこそ、学校が全てではないことを知り、学校に行かなくても夢に向かって進むことができることを学びました。
ですが、全ての子が私と同じ苦しみを感じている訳ではなく、将来同じ考えを持つ訳ではありません。
あくまで人それぞれなのです。
お子さんと関わることができる全ての方が、その子を理解して、その子が幸せになれる道を一緒に考えていただけたら幸いです。
以下の記事では、不登校に関わる内容をまとめております。
ぜひご覧ください。
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