子どもが不登校になる前段階として、不登校傾向(行きしぶり)というものがあります。
この期間に対応ができるかによって、不登校になるか否かが変わってくることがあります。
では、子どもが行きしぶりになってしまった場合、教師はどのように対応したらよいのでしょうか?
今回の記事を読むと以下のことが分かります。
- 子どもが行きしぶりになったときの基本の対応
- 子どもを支える人を増やすためにすること
- 保護者と取り組むこと
- 学校全体で取り組むこと
子どもが不登校傾向になった際に、慌てずに対応できるように心構えをしていきましょう。
子どもが不登校傾向(行きしぶり)になったときの基本の対応
始めにすべきこととして、子どもが不登校傾向になった際に、学年主任、校務分掌の担当者、管理職への報告・連絡・相談は必須です。
それを受けて担任がすることはを説明していきます。
子どもの話を聞く
最も大切なのは、子どもの話を聞くというものです。
本人が何に対して不安を感じているのか、学校に行きたく無い理由は何なのか、それを明らかにしていくことが必要になります。
そこで、「傾聴」を意識して話を聞いて頂けたらと思います。
相手を見る、うなずく、時に詳しく話をしてもらえるように質問をしてみる。
そのように相手の話を受け入れながら、話を聞いてみましょう。
ここで「嫌なことがあるんでしょう?誰にされたの?」といったような問い詰めるような聞き方は避けましょう。
子どもが無理に意見を出すことで、直接の原因とは関係ない考えが出てくる場合があります。
そうなると、原因の解決が難しくなっていくことになりかねません。
あくまで、話を聞くこと(傾聴)が中心です。
原因があるときは解決を
いじめが原因となっている場合等には、「いじめを絶対に許さない」といった毅然とした対応をとることが大切です。
毅然とした対応というのは、子どもの関係の良し悪し、学級の雰囲気、全て関係なく、「いじめは絶対に許さない(許されない)」というハッキリとした態度を示すことです。
子どもはいじめの意識はないかもしれませんが、「からかい」や「悪ふざけ」が原因になっていることもあります。
普段の指導に加えて、再度、学級全体を指導することが必要になってきます。
その他、学業の不振が不登校のきっかけの一つとなっている場合、子どもが学習内容を確実に身に付けることができるように指導方法や指導体制を工夫することが必要になることも。
具体的な対策として、板書を工夫するなどの授業改善のみならず、取り出しての個別授業や、TTの先生と協力した指導等も考えられます。
不登校の原因については、以下の記事にまとめています。
学級で子どもの繋がりを深める
学級に子どもの居場所があり、それを支えてくれる人がいれば、学校生活を送ることができるものです。
逆に言えば「いままで教師がどれだけ子ども同士の繋がりを作ることができたか」がポイントになってきます。
子ども同士をつなぐ
まずは、子どもとの繋がりを再度作っていきましょう。
既に子ども同士に決まったメンバーとの繋がりがあるなら、あえて、普段組まないメンバーと組ませるのも一つの方法です。
不登校傾向になり、友達とうまく関われない子どもには、穏やかな子と組ませてみたり、仲の良い子と組ませてみて、サポートを頼んでみたりすることも考えられます。
授業や遊びで関わりをつくる
エンカウンターなどを行うことで、授業の中で子ども同士の繋がりを生み出すことも考えられます。
子ども同士が話し合い、協力しないとできない学習を仕組んでいく中で、子ども同士の関係を深めていくことになります。
なお、お楽しみ会などの交流会は良し悪しです。
子どもが楽しむことができるのであれば良いですが、学級に対して忌避感が生まれている場合はお楽しみ会でも入ることができない、といった状況が生まれ、子どもにとって大きなストレスになる場合もあります。
クラスに関係ができていない、崩れてきている場合は、教師主導で交流を仕組んでいくことが大切になるでしょう。
特別扱いは周りからの反感を招くことも
個に応じた指導として教師がしていることに対して、「特別扱い」と意識させないことも大切になります。
特別扱いをしている、と誤解されると教師への不信感に繋がることもありますので、時には子どもの理解を得て行うことも大切です。
普段の指導により「先生はみんなを大切にしている」という学級の雰囲気を持たせることができれば、上記のような不満は起きにくくなるでしょう。
保護者と取り組むこと
細やかな連絡
保護者と「不登校傾向(行きしぶり)を解決するにはどうしたら良いか」という課題意識を共有して、一緒に取り組むための信頼関係をつくることが大切です。
家庭訪問、電話連絡等,保護者が気軽に相談できる体制を整えることが重要だと言われています。
先生方にとっては、負担の大きい分野にもなります。
保護者との信頼関係をつくる上で大切な部分になりますが、スクールソーシャルワーカーの方とも連携していくと、学校との関係を深める上でも役立つでしょう。
この家庭訪問で子どもと話す機会もあるかと思いますが、学校のことを話すのではなく、教師との信頼関係を高めることを目的にしましょう。
(子どもが学校のことについて、気になっている場合は話をしてもよいでしょう。)
学校の話をするのも良いのですが、一緒に遊んだり、話したりすることも教師との信頼関係を深める一つの方法としてよいかもしれません。
学校で取り組むこと
学校になかなか来ることができない子どもが登校してきた場合は、どの教師も温かい雰囲気で迎え入れられるようすることや、保健室や相談室等を使った学校生活の送り方を考えることもよいでしょう。
ですが、それよりも前に学校全体で行って欲しいことがあります。
学校の過ごし方の確認
いじめや暴力行為といった、問題行動への毅然とした対応は、学級だけでなく、学年、学校全体で取り組んでいく必要があります。
子ども、教師一人一人がいじめや暴力行為を許さず、困っている人がいたら助けようとする、そんな姿を育成していくことを共通認識としておくことが大切です。
普段の指導が最も大切ですが、各学期の始業式で生徒指導担当の先生から話をしてもらうなど、共通認識を持つための取り組みを繰り返し行っていきましょう。
また、教師は共通認識を持った上で、全員が指導していくことが必須です。
初任者であろうと、自分の学級の子どもではなくても、指導していくことが教師に必須の資質になります。
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと繋ぐ
学校においては、相談や支援の体制を作る上で、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーを活用することが求められています。
教師にはなかなか対応の難しい、カウンセリングを行ってくれるスクールカウンセラー。
そして、子どもの家庭に家庭訪問をしてくれたり、その時の状況においては行政とつないでくれたりしてくれるスクールソーシャルワーカーの役割はとても大きいです。
このように教師だけでは対応できない問題でも、学校の関係者として対応を補助してくれる方々の力をうまく借りていくことも、必要になってきます。
おわりに
子どもが不登校になる過程には、様々な人間関係や本人の気持ちが影響しています。
教師一人で解決できない問題もあるかと思いますので、個人ではなく、学校、社会全体で対策できるようにしていきたいですね。
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