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学級を立て直せ! 臨床心理士から学ぶ、学級崩壊の予防と対処方法!

初等教育(小学校)
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 もうすぐ四月、新学期がやってきますね。
 学校では学級編成が行われ、爽やかな新たな気持ちでスタート! と行きたいところではありますが、担任と子どもの巡り合わせによっては、学級が落ち着かず、いわゆる「学級崩壊」になってしまうこともあるでしょう。
 そこで、今回は臨床心理士(スクールカウンセラー)の方からみた、学級崩壊への効果的な対応方法、また学級崩壊の未然防止にはどのような考え方が大切なのか、紹介いたします。

学級崩壊の際に頭を悩ませる5つのポイント

 学級崩壊などの、子どもが落ち着いていない状況について、担任は以下の五つの項目に頭を悩ませることになるでしょう。

  1. 保護者の意見
  2. 児童の家庭環境
  3. 個々の児童の学力
  4. 学級のルールの定着
  5. 教師と児童の人間関係

 クラスの保護者の方から「〜のようにしてほしいです」という意見をもらい、問題を起こす児童の家庭は親御さんの仕事の関係でなかなか連絡がつかなかったり、指導について協力を得られなかったり、そして子ども自身の学力も低く、学級のルールを守らずに教師と衝突ばかりしている。
 そんな状況に頭を悩ませて、気持ちが憂鬱になる担任の方は意外と多いのではないでしょうか。

 これらについて、対応し、解決を目指していくのが担任として必要な部分になるかと思いますが、全てをこなすのは、とても労力が必要です。
 そこで、力を入れる項目を決めていきましょう

5つの項目の内、重要な内容、重要ではない内容

 先ほど挙げた5つの項目の中には、教師が力を入れるべき項目と力を入れる必要がない項目があります。

 最も力を入れるべき項目は、「学級のルールの定着」であり、最も力を入れるべきでない項目は「保護者の意見」です。
 その他の内容も含めて力を入れる順番に並べてみると

  1. 学級のルールの定着
  2. 教師と児童の人間関係
  3. 児童の家庭環境
  4. 個々の児童の学力
  5. 保護者の意見

 のようになります。
 では、どうしてこのような順番になるのか、説明をしていきます。

【重要度:高】学級のルールの定着と教師と児童の人間関係

 学級経営をしていく中で最も大切なのは、学級のルールを守ることです。
 しかし、子どもたちは幼いほどルールを窮屈に感じ、「自由」であろうとします。
 ここで、重要なことがあります。
 それは、自由はルールの範囲でのみ認められるということです。

 皆さんは「自由にしていい」と言われたときどのように過ごしますか?
 私の場合、読書や昼寝、散歩などをするかと思いますが、これは社会の中におけるルールを守った行動になります。
 しかし、ルールを守ることを知らない人に「自由にしていい」と言ったとき、どのような現象がおきるでしょうか。
 もしかしたら、犯罪に走ったり、他の人の迷惑になる行動をしてしまったりする人がいるかもしれません。

 このように、「法律を守る」「他の人の迷惑になる行動はしない」などの暗黙のルールが社会にはあるのですが、そのルールが何故存在するのか、何故守る必要があるのかを子どもたちは、その幼さからまだ正確に捉えることができません。
 そのルールの価値を伝え、守らせていくことが教師の役割になっていきます

 もし、担任が学級のルールよりも、子どものしたいことを優先させる姿を子どもに見せた場合、それは「ルールよりも、子どものしたいことが大切」ということを子どもたちに伝えるメッセージになってしまいます。
 これはすなわち、授業中でも私語や立ち歩きをして良い、というような身勝手な行動を助長する原因になっていきます。
 こうした状況にならないように、学級全体へルールの大切さを伝えていくことが重要です。

 ここで捉え間違いをしてはいけないのですが、この指導は「身勝手な行動をする児童」に対して即効性のある指導ではありません。
 この指導の本質は、「身勝手な行動をする児童」の周りにいる、良心を持ち、規律を大切にしている児童に対し、良心と規律を教師が大切にしている姿を見せていくことで、全体の成長を促すことです。
 教師が見せた姿に対し、ルールを守ろうとする子どもたちの姿がみられた際に、声をかけ、適切に評価していくこと。
 これを続けていくことで、担任と人間関係を大切にしてくれる子どもが増えてくるでしょう。

【重要度:中】児童の家庭環境と個々の児童の学力

 子どもの問題行動の根底には、家庭の環境や低学力の問題があります。
 しかし、これは必ずしも、学級崩壊の原因に繋がる訳ではありません。
 なぜならば、ルールが適切に守られていると、数名の子どもが身勝手な行動を取ったとしても、周りの子どもは「不適切なことをしている」という認識を持ちます。
 その認識が正しいと認めてくれる大人の存在があれば、学級が崩れることは少ないです。
 もし、教師が厳しく叱るような対応をしたとしても、「叱られるのは仕方ないことだ」と多くの子どもが認識してくれれば、学級が崩れることはないでしょう。

 ただし、子どもが身勝手な行動を取ったとき、クラス全体が「我関せず」と白けた雰囲気になっている場合、子どもたちは「学校や担任には現状を変えることができない」という諦めの気持ちが生まれている状況を表しています。
 このような状況にあるときは、学級経営の方法を見直す必要がありそうです。

【重要度:低】保護者の意見

 五つの項目の内、学級崩壊に対応するにあたって最も重要度が低いのは、「保護者の意見」です。
 中には「〜をして欲しい」という意見を伝えてこられるご家庭もあります。
 確かに、中には配慮すべき内容もありますが、ここでは「保護者の意見」を重視して全てを受け入れるのではなく、あくまで一つの意見として受け止め、「学校の責任」として担任のやり方を見直していくことが重要になります。

 なぜならば、保護者の意見を聞いて、その通りにしたものの、うまく行かなかった場合、その責任は誰にあるのでしょうか?
 「保護者の方が言ったから」と保護者の責任としたいところですが、他の保護者の方からしたら「学校(担任)がしたこと」という様に捉えられます。
 すなわち、学校が責任を持って教育活動を行う上で、学校全体のことを考えた場合、保護者の意見を最優先することは避けるべき行為でもあるのです。

 ただし、全てを切り捨てる必要はありません。
 保護者の意見を聞いて、学年、学校で協議し、適切な教育内容と判断した場合は実施するなど、あくまで学校側で判断したことを行っていくという姿勢を大切にしていきましょう

おわりに〜親しき仲にも礼儀あり〜

 教育をしているなかで、親しくなると目上の方に対してもタメ口や、馴れ馴れしい口調で話しかけてくる子どもを見ることがあります。
 これは、その子どもがルールと人間関係を大切にできていない証になります。
 適切な人間関係を構築するには、「ルールを守りつつ、親しみの気持ちを込める」ことが大切になっていきます。
 グループエンカウンターと呼ばれる学習方法で人間関係構築を狙っていく方法もありますが、まずは普段の生活の中で、「親しき仲にも礼儀あり」と日常の中にあるルールについて確認していきましょう。

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