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絵や工作が上手くなる? 小さい子どもの造形表現活動

初等教育(小学校)
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 造形表現活動と聞いて皆さんはどのようなものを思い浮かべるでしょうか。

 造形表現活動とは簡単に言うと絵を描くことの外に、紙や木、粘土などを使って形を作り、表現する活動のことを言います。

 子どもたちは日常生活の中に、その造形表現活動を成長させるために大切な要素を見出し、実は実践しているのです。

 今回はそのような日常生活の中にある、子どもが成長するポイントについてご紹介します。

大人に嫌われる造形表現活動

 この見出しを見た時に、「え、何?」と思った方は少なくないかもしれません。

 簡単に言いますと、家の壁や柱に傷をつけたり、落書きをしたり、洋服を汚したり、ふすまや障子を破ったり、新聞紙を破ったり、そのような「汚す、乱す、壊す」といった活動も造形表現活動の意思です。

 このようなことをされては、さすがにたまったものではないと、叱るのが親としての当たり前でしょう。

 しかし発育や保育の視点に立てば、それをまた大事な遊びであり造形表現活動そのものでもあります。

 これを認めるためには、大人による子どもの発達への洞察、子どもの気持ちへの共感、工夫や忍耐が必要です。

 しかし、仮にこれらができたとしても、家や学校では十分に評価することはないかもしれません。

 絵や工作ができたからといって、高い評価が得られないのが世間一般における残念な、当たり前なのです。

 それが世間的に造形表現活動があまり受け入れられない原因でもあります。

教育の現場での造形表現活動

 ではその造形表現活動を主にしている場所はどこでしょう。

 皆さん既にお分かりの通り、それは幼稚園、保育園、学校といった場所になります。

 幼稚園で造形表現活動を行なった研究によると、子どもは身の回りの環境に関わり、材料や出来事の意味を考えることで、自分だけの考えを作りアイデンティティを作っていくことができる、と言われています。

 また子どもの造形表現活動は子どもにとって大切な他の人(保護者など)との関係と、身の回りにある人や物、事との関係、また社会との文化の関係がそれぞれ相互に関係しあい、作られていきます。

 また、この三つの要素の関係は、子どもの心を育む場としても機能していきます。

 つまり造形表現活動とは、子ども一人で遊ぶだけではなく、親や友達、学校の先生など多くの人や環境に関わることで、より活発になっていく活動ということができるでしょう。

 私が以前勤めていた小学校では造形表現活動として絵を描くこともありましたが、その際に筆を使わず別のもので描いてみようなど、筆を使う技術だけにはとどまらない表現というものを意識して取り組んだこともあります。

 その中で子ども達は定規を使って線を書いたり、手のひらに絵の具をつけて絵を書いたりと、いつもとはまた違った表現方法に、とても生き生きしていたのを覚えています。

 子どもが汚すのが大好きです。

 それは小さい子どもでも、小学生でも、はたまた中学生でも同じでしょう。

 芸術は爆発だ、という言葉もあるように、思いっきり表現するというのも、今の子ども達には必要なことかもしれません。

おわりに

 今回の内容はいかがだったでしょうか。

 事あるたびによこしたり、事あるたびに壊したり、子どもというものは、目を離すといつのまにかとても困ることをしているものです。

 それに対して、つい怒ってしまうのが私たち大人だと思いますが、子ども達が思いっきり、汚したり、壊したりして表現することができるような。

 そんな環境を作ってあげるのも面白いかもしれませんね。

 例えば新聞紙。

 ビリビリに破って何かに見立てたり、何かを作ったり。

 そのような汚したり壊したりした表現がまた次の表現活動へとつながっていく、そんな繰り返しで子どもの表現する力は伸びていくのでしょう。

 そんな子どもを見たとき、怒っておしまいなのか、それを生かそうとするのか、そこが親としての力の見せ所ですよ。

参考論文

  • 幼児期の造形表現と生活づくり(1994)井口 均、長崎大学教育学部教育科学研究報告, 47, pp.15〜25
  • 幼児期の子どもの造形表現行為と保育の場に関する研究―4,5歳児を対象としたパイプを使用した題材から―(2016)村田 透、美術教育学研究、48 巻 1 号

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