指先運動が脳に良いというのは皆さんご存知の通りです。
しかし一般的に指先運動が良いと言われているのはボケ防止を目的とした場合に偏り、ただの脳トレとしての扱いしかされていないように思います。
そこで今回は、指先運動が子どもの成長に与える影響についてご紹介します。
指先運動のポイント
一言に指先運動といっても様々なものがありますが、その一つとして止め結びがあります。
私の住んでいる地方では、止め結びのことを固結びと言い方をしますが、皆さんがひも付きのスニーカーを履く際にするでしょう、ちょうちょ結びの前の段階の、ぎゅっと縛るあの結び方です。
あの結び方には、細いものをつまむ、押し出す、引っ張り出すなどの指先の細かい運動が求められます。
止め結びに似たような指先運動としてはボタン掛けも挙げられます。
ボタンをつまむ、穴に押入れる、もしくはボタンを掴んで引っ張り出すといったものです。
このことからポイントは細かいものをつまむ、入れる、引っ張るこの動作が入っていることが大切だと言えるでしょう。
指先運動と算数の関係
さて今回の研究においては、結び方多くできる子どもの方が、足し算や引き算、等の計算問題に対して多く、そして早く解くことができるという結果があります。
このことから細かいものをつまんだりして扱うことが上手にできる子どもの方が計算においてより高い結果を出すということが言えます。
この研究結果の面白いところは、男の子よりも女の子の方が、特にこの指先の細かさと計算能力の差について関係があるとされているところでしょうか。
なぜ手先の細さと計算能力の差について関係が生まれるのかについて、手先の器用さは脳の前頭前野で行われ、計算の能力は頭頂野で行われています。
この脳の両者が関係しあうことによって手先の細かさと計算能力は強く結びつくのではないかと言われています。
おわりに
今回の内容はいかがでしたか。
細い指先の動きは脳トレに良いと言われていますが、それは子どもの立場になって考えてみると、実は処理を素早く行うためのトレーニングでもあったのですね。
それにより計算というものを素早く行うことができるようになるとは、面白いものです。
小学校において高学年でも、エプロンを背中で結べない子どもがたくさんいます。
そしてその子どもたちに関して言えることは、やはり算数の授業が苦手な傾向が強いようにも思います。
指先で物を細かく操ることができるというものは、小さい時からの積み重ねも大事だと思いますので、小さいものをつまんだり、扱ったりする活動を家でも取り入れられてみてはいかがでしょうか。
参考論文
- 幼児期における手指の巧緻性と計算能力の関係についての基礎研究(2019)喜多真明、野中陽一朗、日本教育心理学会第61回総会発表論文集、612
- 5歳児におけるボタンかけと手指の巧緻性の関連(2017)高橋 美登梨, 川端 博子、日本家政学会誌/68 巻12 号p. 655-661
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