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自閉症スペクトラムって何?どんな支援をしたらいいの?

初等教育(小学校)
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はじめに

 自閉症スペクトラムとは多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こる、生まれつきの脳機能障害です。
 以前はアスペルガー症候群、と呼んでいたものが、自閉症、広汎性発達障害と組み合わさり、自閉症スペクトラムと表現するようになってきました。

 さまざまな状態が考えられるので、「コレが自閉症スペクトラムだ!」と断言するのは難しいです。
 そのため、病院などの専門家のアドバイスを受け、その子にあった支援を考えていく必要があります。

自閉症スペクトラムの特徴

 自閉症スペクトラムの特徴としてよく言われるのは、人とのコミュニケーションをうまく取ることができないこと、他にはこだわりが強いことがあげられます。
 以下に自閉症スペクトラムの特徴をあげています。
 しかし、一概に言えない部分もあり、それらの特徴が見えない場合もあります。

重症度は様々ですが、言葉の遅れ、反響言語(オウム返し)、会話が成り立たない、格式張った字義通りの言語など、言語やコミュニケーションの障害が認められることが多くなっています。
乳児期早期から、視線を合わせることや身振りをまねすることなど、他者と関心を共有することができず、社会性の低下もみられます。学童期以降も友だちができにくかったり、友だちがいても関わりがしばしば一方的だったりと、感情を共有することが苦手で、対人的相互関係を築くのが難しくなります。
また、一つの興味・事柄に関心が限定され、こだわりが強く、感覚過敏あるいは鈍麻など感覚の問題も認められることも特徴的です。

厚生労働省 eヘルスネット

自閉症スペクトラムへの支援 引用:(2007)山本より

 自閉症スペクトラムの子どもに対しては、コミュニケーションを行うために、継続的な支援が必要になっていきます。
 その支援についても、暗黙の了解を作らずに、明文化したり、絵に表して視覚的に捉えられるようにしてあげることが大切です。

指導初期では,対人刺激が嫌悪刺激ではなく強化刺激になるよう,対人的相互作用を安定させる.はじめは,強い音声指示を出したり,大人のペースで課題を進めたりせずに,子どもの自発的な反応に対して,笑顔や柔らかい音声や接触刺激で返していく対応方法で対人関係の基盤をつくる.外界の社会的刺激へ働きかける行動が,ポジティブな環境の変化をもたらし,結果としてその行動の増加をもたらす状態を繰り返し経験する(随伴性の検出:Bower,1989)ことで,安定した社会的相互作用ができる.自閉症児では,そのような社会的行動が,通常の環境との相互作用の中で「発達を待つ」だけでは成立しにくいため,随伴関係を学習する支援が系統的に必要になる.

Ozonoff, Dawson, & McPartland (2002) は,以下のような支援方法を提案している.「会話をしている時には,相手と 5 秒間視線を合わせる」というような具体的な社会的相互作用のルールを与える.「会話は,始まりと中盤と終わりからなる」というような複雑な行動をステップに分解して,それぞれのステップを教える.集団での活動の手順の要点を書いたスケジュールを与えることで,活動を予測できるようにする.現実的な目標を設定したり,目標を達成したら何らかの強化が得られるようにする.指導セッションの外の日常の中で行うべき宿題を与えたり,スキルを実践するために地域での活動に参加してもらう.

Gray (1998) は,自閉症児のあいまいな状況の理解の困難を乗り越え,適切な対応方法を明示するために,「ソーシャル・ストーリー TM」という方法を考案している.前者は,会話中に起こるコミュニケーションの様々な段階をイラストで表現したもので,線画で人の姿を表し,発言と考えていることを吹き出しの中に書き,シンボルや色を用いることによって,他者および自分を含めた状況を俯瞰的な視点から理解することができるようにしたものである.後者は,「5W1H」の情報を視覚的に伝え,目に見えないルールや対人関係を文章にすることによって理解できるようにする.経験したことのない出来事について,事前に情報を提供することで予測できるようにすることで,不安を軽減したり,社会常識や世の中のルール,暗黙の了解などについての理解を手助けする.ソーシャル・ストーリーを用いて,適切でない行動を減らしたり,新たなスキルを獲得したり,適切な社会的相互作用を促進できることが実証されつつある (Reynhout & Carter, 2006).

おわりに

 今回の内容はいかがだったでしょうか。
 自閉症スペクトラムについては、スペクトラムの名の通り、千差万別。
 一人一人置かれている状況が異なります。
 そのため、一人一人の特性にあった指導ができるように、親や病院、学校が連携して子どもの教育に携わっていくことが大切になります。
 根気強い指導が必要になってきますので、悩みを一人で抱え込み過ぎないように気をつけていきましょう。

参考論文・サイト

  • 自閉症スペクトラム障害の発達と支援(2007)山本 淳一, 楠本 千枝子、認知科学14 巻 4 号 p. 621-639
  • 厚生労働省eヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-005.html)

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