ごっこ遊びで相手を思いやる力を育てる
以前の記事で、イヤイヤ期を軽いものにするために効果的なごっこ遊びの内、0歳〜1歳のごっこ遊びについて紹介しました。
しかし、記事の内容は、どのようなことをしたら良いかを紹介することが多く、具体的にどんな力が育つのかについては、あまりお話していませんでした。
そこで、今回の記事では、ごっこ遊びは、なぜ子どもの成長に良いのか、ごっこ遊びを通して育つ相手を思いやる力についてご紹介したいと思います。
↓今回の内容
- 相手を思いやる気持ちとは?
- どんな遊びをすればよいの?
相手を思いやる気持ちを育てるとは?
相手を思いやる気持ち、といってもどのような姿として現れるのでしょうか。
ごっこ遊びを通して、見られるようになるとされている相手を思いやる姿は以下のようになります。
- 道具を貸してあげる
- 困っている子に声をかけてあげる
- 他の人に順番をゆずってあげる
大人からしたら当たり前かもしれませんね。
しかし、子どもが最初から、相手を思いやる行動ができるわけではありません。
「幼児の愛他心の発達におよぼすごっこ遊びの効果」石橋、によると、日常的にごっこ遊びを経験している幼児は、より他の人を思いやる気持ちが強く、困っている人に対して優しく接することができることができると報告しています。
その中で、一人遊びばかりしていて、「公園に行きたいから、公園に行く」「もったいないから、道具は貸さない」と言っていた子どもについて、ごっこ遊びの取り組みを行い、二か月間ごっこ遊びに参加したという話が書かれています。
- 最初は道具の貸し借りから始めた。
- 他の子とのものづくり(商品の作成)を喜び合う体験などを通して、他の人を気遣う発言をするようになった。
- 困っている人を助ける方法を具体的に言えるようになった。
- 相手の気持ちを考えることができるようになった。
- 相手へ順番をゆずることができるようになった。
この子は二か月の間で、自分中心だった世界から、周りの人と協力して生きていくことができるようになっています。
その要因として考えられるのは、相手を意識した行動を繰り返すことと嬉しい楽しいという経験のようです。
どんな遊びをすればよいの?
さて、ここで疑問に思うのは、どんなごっこ遊びをすれば相手を意識して楽しいと感じるのか、ということですね。
千葉県浦安市の保育の取り組みでは、「お店屋さん」ごっこをしているようです。
お店で売る商品を作る活動を通して、ハサミなどの道具の貸し借りや、材料のゆずりあい、「これを〇〇したら○○になるよ」という相手へのアドバイス。
お店で商品を買うときに、「これをください」、「いらっしゃいませ」、「ありがとうございました」という、声掛け。
…普通じゃないかって?
そうですね。普通です。大人からしたらですが。
ここで大切なのは、「普通」と感じることの中にも教育の意味が必ずある、ということです。
その意味を知らないと、「おままごとは女の子の遊び」と切り捨ててしまうご家庭もあるのです。
おわりに
今回の記事はいかがだったでしょうか。
「ごっこ遊びは、おままごとのことだから女の子の遊びだよ」と思っているご家庭は結構多い気がします。
しかし、その遊びの中には相手を思いやるために必要なポイントが沢山含まれているのです。
…そういえば、経験上、小学校で相手を思いやれない子って男の子が多いです。
もしかしたら、小さい頃のごっこ遊びの経験と関係があるのかもしれませんね。
参考資料
- 千葉県浦安市公式ホームページ、就学前「保育・教育」指針
- 石橋尚子、1999:「幼児の愛他心の発達におよぼすごっこ遊びの効果」 社会研究5号 21-28
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