子ども頃の運動習慣というのは、生涯にわたる習慣作りにも繋がっていきますので、可能な限り運動を習慣づけていきたいものです。
しかし、小学校の先生をしていると、運動嫌いな子がクラスにけっこういることが分かります。
どうして、子どもは運動が嫌いになるのでしょうか、また、どうしたら運動の習慣をつけることができるのでしょうか。
今回は、それらについて、論文を基に調べたことをご紹介します。
子どもが運動嫌いになる理由
子どもが運動嫌いになる背景としては以下の6つの背景があると言われています。
第1にほとんどの人が運動能力に関して、劣等感を持っていた。
第2に性格的に内向的・消極的であると考える人が多くて、一般的に劣等感を抱きやすい性格だった。
第3に経験してきた体育の授業に対して、否定的な評価をしていて、特に授業内容が技術中心で、個人差を考慮してくれなかった点に不満を持っていた。
第4に体育教師(特に中学)の指導理念に対して、強い不満を持っていた。
第5に評価の視点が上手・下手による能力評価となっていることに対して否定的で、努力を認めてもらえないことに対する不満が多かった。
第6に過去に体験した体育の授業だけでなく、運動する楽しさの経験や喜びの経験を感じた人が少なかった。
このように、運動が上手くできないという劣等感を持ち、頑張っても努力が認められず、楽しいとも感じない、そのような悪循環が運動嫌いを生む習慣になっているようです。
子どもの運動習慣をつくる方法(大切なのは生活習慣と親の関わり)
さて、ここで論文に書かれてある内容を見てみましょう。
児童の運動意欲に関連する要因として,(1)食事・睡眠を始めとする健全な生活習慣,そして座位中心の生活が少ないこと,(2)運動への心理社会的要因として個人内(性格,運動能力,等5因子),体育授業,及び家庭環境への肯定的かつ積極的評価,(3)日常生活全体における身体活動量の高さ,の主たる3側面が「活力サイクル」の如く好循環しており,結果的に学校体育への運動意欲を促進すると示唆された.
子どもの運動意欲を支える心理社会的要因
「幼児自身ができたという実感があるときにこそ,褒めることが大切であり必要である」としているように,むやみにほめたり認めたりすればいいわけではない。幼児が心から「できた」「やった」という手ごたえを感じているときこそ,その幼児の気持ちを共有し,心から一緒に喜んだりほめたりすることが大事なのである。
幼児の運動意欲を高める運動遊びに関する考察
ここで、大切だと言われていることをまとめると、以下のようになります。
- (朝食を食べる、十分な睡眠をとるなど)適切な生活習慣がある。
- 運動に参加しようという気持ちを持てるフォロー(ほめる活動、もっとしたいと思える活動)がある。
- 日常的に体を動かす機会がある。
生活習慣、子どもの気持ちを育てるフォロー、そして体を動かす活動。
それが関わり合うことによって、子どもの中に運動しようとする気持ちが育ち、習慣が生まれるきっかけになるようですね。
おわりに
今回の内容はいかがだったでしょうか。
小さな子どもは踊りなどの運動が好きなのに、何故嫌いになるのか、それはきっと誰かと比べられる機会が生まれるせいですね。
運動習慣は、誰かと比べるものではなく、自分が楽しいと思えることが大切です。
そんな習慣を作るために、何をしたいか、何をしたら運動を気持ちよく感じるか、それを柱にして、運動の内容を考えてみるとよいですね。
娘(3歳)を見ていると、大人が楽しんでいると、子どもも着いてくる気もします。
(最近、私の筋トレをマネだけでなく、自分から筋トレもどきをし始めました。)
運動不足の親御さんも合わせて、運動して気持ちよいと思える内容でメニューを考えてみてはいかがですか?
参考論文
- 子どもの運動意欲を支える心理社会的要因(2010)松平 宗之、高井 和夫、「教育学部紀要」文教大学教育学部 第44集、129 – 142
- 幼児の運動意欲を高める運動遊びに関する考察(2019)村上咲子、筒井茂喜大阪体育学研究 第 57 巻、55-67
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