研究結果と司書の方の意見を受けた、読み聞かせの方法
本日4月3日は「読み聞かせの日」です。
みなさん、読み聞かせしていますか?
読み聞かせというと、親子のコミュニケーションであったり、子どもの学力を高める方法であったりと、様々な良いところを聞いたことがあるでしょう。
しかし、「読み聞かせの方法が分からない」や「読むの下手だから、あまりしたくない」という思いを持っている人がいるのも確かです。
そこで今回は、図書館司書の方が実践する読み聞かせの方法を、子どもの理解が進む読み方について調べた研究結果と合わせてご紹介します。
↓今回の内容はこちら
- 絵本の持ち方
- 絵本の読み方
- 読み終わったら
絵本の持ち方
絵本の持ち方は真ん中の下を持ちましょう。
子どもに見せつつ、自分が文字を読むことができるように持ってくださいね。
読み方の研究と司書さんの意見
さて、ここで一つ質問をします。
次の2つの読み方の内、よい読み方はどちらでしょう。
- 役になりきって、感情を入れて読む
- 役になりきらず、感情も入れないで読む
正解は・・・
「役になりきらず、感情も入れないで読む」読み方です。意外でしたか?
「絵本の読み聞かせ時の演じ分けが子どもの物語理解と物語の印象に与える影響」松村ら、の研究によると5、6歳を対象に行った読み聞かせの結果(サンプル数の少なさから十分な精度を得られていないことであり、演じ分けの程度や種類で結果が異なる可能性も十分あるとしながらも)「登場人物の心情を問う項目については,統制群の方が高いという傾向が示された.また,物語の印象では,演じ分け群の方が印象が偏る傾向がみられた。」ということが言われています。
ちょっと分かりにくいので説明すると、「登場人物の気持ちはどうだったでしょう」という問題を解いたときに、正解率が高かったのは、役になりきらなかった方だということ。
そして、役になりきると、子どもの感想は「楽しい」や「かなしい」といった偏った印象ばかりになってしまう原因になるということも言われてます。
それの何が問題なのかというと、「子どもが本から受ける印象を大人が選んでいる」ということです。
例を挙げると
「ももたろう」というお話では、「鬼がわるい」という印象ばかりになって、「けんかしてるのダメだよね」や「鬼もかわいそう」という考えが出てこなくなる。
「さるかにがっせん」のお話では「かにがかわいそう」「さるがわるい」という印象ばかりになって、「うんちですべったのがおもしろかった」や「さるがかわいそう」という考えが出てこなくなる。
子どもの自由で豊かな感じ方ができなくなる可能性があります。
とはいえ、司書の方が言うには「たしかに淡々と読む方が良いと言われていますが、子どもが楽しそうに聞いてくれるのは演技をいれた場合ですね」ということなので、与える印象がある程度固まっている、「面白い話」「怖い話」などでは演技を入れるとより、楽しく、怖く感じるかもしれませんね。
でも、演技を入れた読み聞かせた方が、子どもが本を楽しいものと思ってくれるという意味では演技をするのも良いのかもしれません。
(本好きにするために、本は楽しい、そう印象付けるために演技を入れるということ)
読み終わったら
読み終わったら本を開いたまま、表紙を見せて「○○(本のタイトル)、おしまい」と終わりましょう。
絵本の表紙は、繋がっているものが多いというのに、皆さんは気づいていましたか?
そこには、話の印象が強く残ったり、話を聞いた後で表紙を見てみると最初と感じ方が変わったり、と面白いので、ぜひ見せてあげてください。
おわりに
今回の記事はいかがだったでしょうか。
読み聞かせは、親子のコミュニケーションであり、子どもにとっては勉強であり、また遊びでもある。
今日は年に一回の「読み聞かせの日」ですので、お子さんに本を一冊読んであげると良いかもしれませんね。
因みに年齢は関係ありません。
小学校高学年でも楽しみにしている子、結構いるんですよ?
最後に意見を下さった、司書の方、貴重なご意見ありがとうございました。
参考論文
- 「絵本の読み聞かせ時の演じ分けが子どもの物語理解と物語の印象に与える影響」(2015)日本教育工学会論文誌 39(Suppl.)、125-128、松村 敦、森 円花、宇陀則彦
コメント