同和問題、部落問題というと、皆さんは小学校、もしくは中学校で学習してきたのではないでしょうか。
現在の小学校社会科の教科書には、現代で言う警官や庭師、解体屋などが「差別をうけてきた人々」として日本の文化に関わってきた事例が紹介されています。
それらの「差別を受けてきた人々」が住んでいた場所が部落と言われていたのですが、現代では部落という言葉は日常的にはあまり聞かれなくなってきました。
しかし、現代になってもなお、その差別が同和問題、部落問題として残っているのです。
そこで、今回はその同和問題、部落問題が現代において、どのような問題が起こっているのかを簡単に紹介します。
7月は同和問題啓発強調月間になります。
この記事が、人権問題について一人一人が考え、差別を無くしていこうという気持ちを大切にしていこうという。
人権問題を振り返る機会となれば幸いです。
部落問題とは
日本の歴史の中で作られてきた身分制度によって生まれた差別により、国民の一部の人々が長い間、経済的、社会的、文化的に身分の低い状態を強いられました。
そして、その差別によって、現代になっても生活をおくる上で様々な差別を受けてしまうという人権問題です。
簡単に言うと、「昔、身分の低い人たちが住んでいた部落に住む人は、今も身分が低い」や「部落の人の子どもは普通の人の子より価値がない」、「部落に住む人はどこかおかしいから、一箇所に集まっている」等の誤った認識や考えが、今を生きる人々にも悪い影響を与えてしてしまっているのです。
部落問題を正しく理解し、一人一人の人権が尊重される社会を作っていきましょう。
事例1:結婚・就職等における差別

結婚は、二人の意思によるものであり、憲法はその権利と自由を保証しています。
しかし、実際には「あの人は部落の出身だから」や「あの一帯は部落だからね。その部落の人の子だから」といった理由で、結婚を拒否されるといった差別意識はいまだに残っています。
また、就職しようとした際、採用時に本籍地や家族の職業等、本人の仕事への能力や適正に関係ないことを面接の際に聞いたり、被差別部落の出身かどうかを調べたりするなどして、不採用にする事例もあります。
この問題を受け、就職活動の際には共通のエントリーシートが使われるようになっているのですが、未だに面接の際に本人と関係ない内容を聞いてくる会社も存在するのです。
本人に関係ない内容を聞くことは人権問題につながりますので、聞かれても答える必要はありません。
事例2:差別落書き等

部落問題に関する差別的な落書きがされたり、ビラがまかれるといった事案が全国で未だに発生しています。
差別や偏見に基づく、こうした行為は他人の人格や尊厳を傷つけるものであり、決して許されるものではありません。
しかし、落書きをする人がいなくならないのが現状です。
街中の人の目に着く場所や、子どもたちが遊ぶ公園などに、書かれた落書きを見たことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか?
また、インターネットの普及と共に、インターネット上で差別を助長するような内容の書き込みがされるという事案もあります。
インターネット上の誹謗中傷や差別の書き込み、誤った情報は一度投稿されると、削除が困難であることが多く、大きな問題に繋がっています。
皆さんもインターネットにある情報を鵜呑みにしないように注意しましょう。
事例3:差別につながる身元調査等

出身地を調べたり、特定の地区が被差別部落かどうか調査したりするなどの事案が未だに発生しています。
特に事例1にあったように、結婚の際に相手に内緒で、相手の住んでいる地域や地区が部落かどうかを調べる人も未だに存在するようです。
こうした調査は相手を差別的に扱ってしまうことに繋がりかねません。
人権侵害につながる身元調査には「しない、依頼しない、協力しない」を実践しましょう。
おわりに
人権について学習する機会は少ないかもしれません。
「人権問題について騒がなければ、人権問題はなくなる」といった意見や、「そもそも部落問題って何?私と関係なくない?」といった疑問を持たれている方もいるのは事実です。
しかし、これらの課題について知っておくことで、「どうしてそれがいけないのか」を理解することや、その理由を他の人に伝えることができるようになります。
7月は同和問題啓発強調月間です。
この機に日本全国に残るこの人権問題について、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
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