世界生命の日に振り返る、内密出産、赤ちゃんポストの話
本日は「世界生命の日」です。
これは1991年4月25日から4月27日まで東京で開かれた国際生命尊重会議で制定されました。
それと同時に「胎児の人権宣言」が採択された日でもあります。
時折ニュースを見ていると、生まれたばかりの子どもを遺棄した、トイレで出産して死亡させて逮捕という話が聞こえてくることがあります。
その女性達にも様々なバックグラウンドがあるでしょうから、全ての親が悪いとは言えないかもしれません。
ですが、悲しいお話には変わりないですね。
そこで、今回は赤ちゃんポストや内密出産といった、女性と赤ちゃんのためにある制度について少し話をしていきます。
↓今回の内容
- 赤ちゃんポストとは
- 内密出産とは
- おわりに:助けたい人がいる方へ
赤ちゃんポストとは

2007年から、熊本の慈恵病院が行っている「こうのとりのゆりかご」、通称「赤ちゃんポスト」ですが、どのようなものかは名前からイメージがつくかもしれません。
自分で育てることができなくなった子どもを預ける場所です。
生まれた子どもを小さな扉の中にあるベットに寝かせると、健康について確かめられた後に、子どもは児童相談所、もしくは乳児院へ送られることになります。
扉の中には、手紙が入っており、後から名乗り出たい場合にどうしたらよいか、といった手続きの方法などが書かれてあるそうです。
預けられた子どもはその後、戸籍上、家族が誰も居ないという状況から、里親にだされたり、養子縁組を行ったりするようですね。
(市長が名付け親となり、子ども一人だけの戸籍が新たに作られるため)
ですが、最も理想なのは、病院に相談して特別養子縁組を行うことでしょうか。
特別養子縁組とは、赤ちゃんと実親との法律上の親子関係はなくなり、育ての親が戸籍上も親権者となり、実子、我が子として育てる養子縁組です。
子どもができないけれど、子どもが欲しい、そんなご家庭に子育てを任せることができます。
それは、法律上でも家族がいるという点において、子どもにとっても幸せなことかもしれません。
内密出産とは
一言で言うと、「子どもを産んだ記録が残らない出産」です。
その生まれた子は、個別の戸籍をつくることになり、養子縁組に出されることになります。
この内密出産についてですが、世界的に赤ちゃんポストについての取り組みが生まれたり、消えたりする中、2014年にドイツで内密出産法が施行されて以来、ドイツでは2013年からの2年半で、16000件を超える相談があり、346人の女性が「内密出産」を実施したとされています。
日本では先ほども名前が上がりました、熊本の慈恵病院が全国で唯一この内密出産を行っています。
出産費用も病院が負担してくれる制度でもありますので、本当の意味での最終手段と言う感じがしますね。
現状(2020/4/27)、赤ちゃんポストよりも、法律的にグレーな部分がある制度でもありますので、この制度が安定して成立するには、法律の改定が必要になってくるでしょう。
おわりに:助けたい人がいる方へ

予期せぬ妊娠によって、悩んでいる人がいたら、是非とも教えてあげて欲しいのが、「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」というサイトです。
このサイトは、全国20か所の産婦人科が協力して作りあげたもので、自分で育てると決めた場合は、サポートを受けながら子どもを育てる方法を考えてくれたり、自分で育てられないという場合には、特別養子縁組について、もしくは中絶についても相談に乗ってくれたりします。
もし、困っている人がいたときには、専門家に相談してみることをおすすめしてあげてください。
↓リンクはこちら
参考論文・サイト
- 恥辱の再発見 – 敷居の低い支援の拡充をめざして -(2018)柏木 恭典、千葉経済大学短期大学部研究紀要 第 14 号、43 – 53
- 緊急下の母子への匿名支援ドイツの赤ちゃんポストと内密出産の議論を踏まえて(2017)柏木 恭典、医療と社会 27 巻 1 号 p. 135-148
- 一般社団法人あんしん母と子の産婦人科連絡協議会(サイト)
- 医療法人聖粒会慈恵病院(サイト)
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